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「マエケンはメジャーで成功できるのか?」石井一久氏 [スポーツ]


 石井一久氏は2013年に現役を引退。現在の肩書きは「高卒枠採用の吉本興業の契約社員」となっているが、球歴は輝かしく、セ・パ両リーグとメジャー
リーグでシーズン10勝以上を記録、そして、セとパとメジャーリーグで優勝も経験(※)。唯一無二の実績を持っている。その石井氏に「日本人メジャー投手
の現在地」と「広がるセとパの実力差」について語ってもらった。

※92、93、95、97、01年ヤクルトで優勝、04年ドジャースで地区優勝、2008年西武で優勝

――まず、マエケンについて伺います。広島の前田健太投手がポスティング制度での、メジャー移籍を目指すことが発表されました。



「持っているボール自体はメジャーでも大丈夫だと思います。(問題は)そのボールをメジャーで投げられるのか。メジャーのシーズンを中4日、中5日で回っ
ていく中で、どうやって体力を回復させていくのか。日本の場合は中7日、中6日あるので、体力は自然に戻ってくるのですが、アメリカの場合は『どうやって
回復させていくか』なので」



――石井さんは、メジャー時代に中4日での回復には苦労されたのですか。



「そうでもなかったですね(笑)。ただ、身体の丈夫さにも個人差があるし、肩肘の回復具合もそれぞれですからね。あとボールの違いが肩肘にどのくらいの負
担をかけるのか。メジャーのボールは日本よりちょっと大きめで、それは何ミリ違うとかでなく、ボールを握ったときのフィーリングの問題なんです。縫い目の
違いもありますし、そういったところで大きく感じるかもしれません。



 僕自身はボールが滑ることも気になりませんでしたが、感覚は人によって違うので。なんとも言えないところです。ただ、いい意味でアバウトさを持つことは大事ですね。言えるのは、メジャーのボールが日本のものより小さいことはない、ということです」



――前田選手がメジャーで投げたとして、来年、日本人投手は他に、ダルビッシュ有、田中将大、岩隈久志、上原浩治、田沢純一の6人。NPB経験者はすべて
が沢村賞投手という豪華な顔ぶれです。少し前までは、いろいろなタイプの投手がメジャーで投げていた印象がありました。違った角度から見れば、メジャーの
目がシビアになっているのでは?



「日本人投手への評価がどうこうでなく、いろんな状況があると思います。やはり日本ではFAまでの時間が長く、それが挑戦を妨げてますから。いい選手でも
アメリカに興味がない人もいるでしょうし。あとは、沢村賞投手となるような選手はメジャーからの評価も高く、次のステージへ進みたい気持ちが強くなってく
るのでしょうし。その辺は気持ちとお金の問題とタイミングですよね。ただ、日本人野手に対してはシビアになっているとは思います」

――最近はメジャーから日本に戻るケースも「ふつう」になってきました。この春は、広島に復帰した黒田博樹選手の話題で持ちきりでした。



「(黒田は)日本に戻ってきてピッチングを少し変えましたよね。アメリカのボールはかなり動きますが、日本のボールはちょっと動きにくい部分があります。
そこを頭に入れて投げていたと思います。日本でいうフォークとか、フォーシーム系で、ちょっと曲がるボールを多く投げていました。



 日本では被本塁打がメジャーの時と比較すれば、かなり少なくなりました。もともとはボールを動かして、ゴロを打たせるのがうまいピッチャーでしたが、こ
れはメジャーと日本の選手のパワーがそのまま出たと思います。日本の打者のレベルが低いとかでなく、やっぱりメジャーは1番から9番まで打とうと思えば、
どこでもホームランを打てますから。日本のバッターは打とうと思っても打てない人が多い」



――石井さんも、メジャーから日本復帰を果たしましたが、その時に何かをアジャストしたり、日本のマウンドやボールに戸惑ったりしませんでしたか。



「最近は日本のマウンドも、メジャーとまではいきませんが硬くなってきてますから。何を気にしてたかな……。あまりなかったですね(笑)。ボール自体は、
黒田くんのようにムービングボールは使ってなかったですし。僕は、日本のボールのほうが質が良くて、握りやすいので変えたところはなかったですね。ただ、
ボールの曲がり幅は小さくなるので、その曲がりを見ながら、そこは対応しました。結局は、人に聞いても仕方ないんですよ。自分でマウンドを踏みしめ、ボー
ルを握ったときに、何をすべきなのかを自分の感覚でやっていくことが大事なので」



――日本人投手とメジャーの関係性を考えると、この先、大谷翔平や藤浪晋太郎といった若きエースたちのメジャー行きは、致し方ないところでしょうか。



「本人の次の段階へ進みたいという気持ち次第じゃないですか(笑)。ただ、メジャーに挑戦しないからといって向上心がないわけじゃない。現段階でも、いい
ピッチングができると思います。日本のボールとマウンドでの投球だけを見て言えば、(メジャーの)チームで2番手3番手のピッチャーでいけるんじゃないか
な。実際は、アメリカのボールとマウンドで投げないと評価はできないんですけどね」

――前田選手も、メジャーにくればローテの3番手くらいだろうという評価も聞こえてきます。過去にローテの一番手と見られた日本人投手はいますか。



「世界は広いですからね。一番近づいたのはダルビッシュじゃないですかね。これは日本人投手に限らず、すごく難しいポジションだと思います。どこの球団でも一番手はかなりいいので、下位のチームなら……というわけでもない。



 1番手と認められるには、年間を通して抜群の成績をコンスタントに残さなければなりません。メジャーでこれをやり遂げるのは至難の技で、ローテの1番手
のすごさはそこにあります。2番手3番手だとやはり実力で少し劣ってしまうんです。僕が経験した感覚では、メジャーでレギュラーの選手たちは、まったくレ
ベルが違うところにいるので。最初は抑えられても、やがては自分の身体がフレッシュな状態でないと、やられることが起きてくる。そういう選手たちを相手に
通年、そして3年も4年も抑え続けるのは、本当に大変なことなんですよ」



 慎重に言葉を選びながらも、メジャーのすごさを肌で感じてきた石井氏の話はとても興味深く、そこでローテを守ること、それを長く続けることがいかに大変であるか、伝わってきた。次回は今年の交流戦、日本シリーズで話題となった「セ・パの差」について聞く。

(つづく)

 


http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151206-00010003-sportiva-base&p=1 より転載


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