【12月13日 時事通信社】北朝鮮の音楽グループ「モランボン楽団」の北京公演が直前に中止され、団員らが帰国した問題で、その理由をめぐってさまざまな臆測が流れている。

 13日付の韓国紙・中央日報は「最も有力なのは、金正恩第1書記の『水素爆弾保有』発言に関連しているという説だ」と指摘した。朝鮮中央通信が
10日、金第1書記の発言を伝えた後、中国外務省の華春瑩・副報道局長は「緊張緩和に資すること」を行うよう求め、暗に金第1書記を批判した。北朝鮮はこ
れを「最高尊厳(金第1書記)への冒涜(ぼうとく)」と見なし、抗議の意味で公演を取り消したという見方だ。

 韓国の通信社・聯合ニュースは13日、北京の消息筋の話として、金第1書記の「水爆保有」発言を受けて、中国当局が公演を観覧する当局者を共産党
政治局員から副部長級(次官級)に大幅に格下げしたと報じた。この消息筋によれば、中国側観覧者の格下げについて報告を受けた金第1書記が急きょ楽団を撤
収させたとされる。

 一方、中国海外反体制派サイト「中国ジャスミン革命」は、訪中したモランボン楽団のメンバー2人が失踪したという情報が流れていると伝えた。逃亡者が出たことに金第1書記が激怒し、公演中止と即時帰国を命じたとされるが、確認されていない。

 このほか、楽団の団長とされる玄松月さんが「金第1書記の初恋の人」などと報じられたことに対し、金第1書記が不快感を示したという説もあるが、中央日報は「その程度で公演を中止しないだろう」という見方を伝えた。(c)時事通信社